ソ連機の命名規則 (bis版)


更新履歴 (内容に変化ないものは除く)

[2022/01/27] 「3.新命名規則」の制式番号に追記、全体的に可読性改善、表の表示幅調整など
[2020/06/25] 「6.その他の命名規則」を追加

[2019/09/23] 記事全面リニューアル (bis版)
[2018/08/16] fc2旧館より引っ越し?

まえがき

本記事では、ソ連機の命名規則をメインに解説するものである。

 

以下の内容―特に"1.基本ルール"の項については、『ソ連の翼―ソ連航空の全貌』の巻末にある"命名規則解説"を下敷きとしている。

下記内容における特定の語「接頭記号」「制式番号」「接尾記号」などは、各要素に名が無く説明がしづらいために採用した仮の名称である。よってこれらは実際に"命名規則"で定められた名称ではないことを留意願いたい。

1.基本ルール

ソ連機の命名規則は、大きく分けて2つが存在するものであるが、機体名の基本的な構成は下記の通り共通のものとなっている。

[接頭記号]と[制式番号]をハイフン記号で繋ぎ、必要に応じて[接尾記号]が付け加えられるというのが、根底にあるルールである。ただし、[制式番号]は必ず存在するという訳ではなく、省略されているケースも見られる。詳しくは後述する各項を参照のこと。

下記にこの基本ルールの通り機体名を分解した例を挙げる。

上記の4つには、これから説明していく新旧2つの命名規則による機体名を2例ずつ記載しているが、いずれも冒頭の通りの構成であることが分かる。ひとまずは、この3つの組み合わせと構成を頭に入れてもらえれば、今後の話の理解は問題ないだろう。

それでは2つの命名規則について、順に見ていこう。

2.1940年12月以前の命名規則 (旧命名規則)

1920年代よりソビエトでは航空機の自国開発が活発となり、様々な機体が生み出されていった。この自国開発黎明期から、1940年12月に新たな規則に切り替えられるまでの間に使われていたもの (この記事では"旧命名規則"と呼称する)について説明を行う。

『基本ルール』の項で記した通り、機体名は[接頭記号], [制式番号], [接尾記号]によって構成されているが、これらは新旧の命名規則でそれぞれ由来が異なっている。

【接頭記号】

旧命名規則における接頭記号は、「その機体の『用途/役割』の頭文字」から取られていた。次の表1に、主に使用された接頭記号を記す。

表1:旧命名規則接頭記号抜粋一覧表
記号/露表記 名称 意味
I/И Istrebitel 戦闘機
DI/ДИ Dvukhmestnyi Istrebitel 複座戦闘機
MI/МИ Mnogomestnii Istrebitel 多座戦闘機
IP/ИП Istrebitel Pushetchnii 大砲装備戦闘機
TSh/ТШ Tiazholyi Shturmovik 重襲撃機
BSh/БШ Bronirovannyi Shturmovik 装甲襲撃機
BSh/БШ Bombardirovshchik-Shturmovik 爆撃襲撃機
SB/СБ Skorostnoi Bombardirovshchik 高速爆撃機
FB/ФБ Frontovoy Bombardirovshchik 前線爆撃機
TB/ТБ Tiazholyi Bombardirovshchik 重爆撃機
DB/ДБ Dalniy Bombardirovshchik 長距離爆撃機
BB/ББ Blizhniy Bombardirovshchik 短距離爆撃機
R/Р Razvedchik 偵察機
MDR/МДР Morskoi Dalnii Razvyeedchik 長距離水上偵察機
MBR/МБР Morskoi Blizhnii Razvyeedchik 短距離水上偵察機
KOR/КОР Korabelnii Razvedchik 艦上偵察機
U/У Uchebny 練習機
UT/УТ Uchebno-Trenirivochnyi 高等練習機
UTI/УТИ Uchebno-Trenirivochnyi Istrebitel 高等戦闘練習機
PS/ПС Passazhirskii Samolyot 旅客機

I:戦闘機や、R:偵察機、TB:重爆撃機など、一部は他国の機種分類を行うタイプのものと似通っている。しかし、その他にも複数の単語をもとに構成されたものも多くあり、その種類は膨大なものとなっている (表1は一部を抜き出したに過ぎない。試作のみで終わったものなどは入れていない)。またこれらは最初から定められているものでもなく、新たなタイプの機体が考案されると同時に新設されていった。

つまるところ、冒頭に述べたその機体の『用途/役割』というよりは、『コンセプト』と言った方が近いかもしれない。

 

なお「複数単語の頭文字で構成されるものもある」と述べたが、単語の数と文字数が一致しないなど、例外もいくつかある。これは既存の接頭記号と被る事を避けるためで、頭から数文字を続けて取ったものが多い (例:KOR - Korabelnii Razvedchik)。

逆に、元は異なる由来でありながら同じ接頭記号となっている例もある。その一つがBSh (露:БШ)で、このカテゴリにはBSh-1とBSh-2という2つの機体が籍を置いていたのだが、前者は「爆撃-襲撃機」、後者は「装甲襲撃機」の略から取られていたのである。

「被りを避けたもの」と「被りをそのままとしたもの」が同居しているのは謎だが、わざわざ新設するまでもないと考えが変わったのだろうか?

【制式番号】

制式番号は接頭記号と連動している。これは「同じ接頭記号を使う機体群の中で何番目であるか」を表している。

例えば、"I-5 (露:И-5)"なら「5番目に開発された戦闘機」、"TB-3 (露:ТБ-3)"なら「3番目に開発された重爆撃機」となる。ただ、実際には同時期に平行して開発されていた機体もあるので、正確に何番目かでない事もある。

 

一部には、この制式番号が省かれている機体も存在しており、有名なところではツポレフのSBが挙げられるだろう。他にも、シリーズ化されることなく単発で終わってしまった、新たなタイプの試作航空機などでも、制式番号が付くことはなかった例が多い。

試作のみであっても、それに続く機体が作られた場合は番号が振られている。そのうちの一つがVIT (露:ВИТ) ─『空飛ぶ戦車駆逐車』を意味するもので、このカテゴリでは「VIT-1」「VIT-2」と複数機が作られた。

【接尾記号】

接尾記号は様々な使われ方をしている。例えば改良型である時には、「bis(露:бис)」や「M(露:М)」と言った記号が付けられる。 (例:I-15bis, MBR-2bis, UT-2M)

改修により用途が異なるものとなった場合や、より特定の用途に特化した場合にも、この接尾記号が用いられる。例として、DI-6Sh (露:ДИ-6Ш)が挙げられる。これは、複座戦闘機 (DI)であるDI-6を襲撃機としたため、接尾記号に襲撃を意味する語の頭文字であるSh (露:Ш)を付け加えたというものだ。この辺りは、機種が変わると末尾に記号を付け加える帝国海軍の命名規則と近しいものがある (例:N1K1 (水上戦闘機『強風』)→N1K1-J (陸上戦闘機『紫電』)など)。

他に用途が変わったものには、DB-3T (露:ДБ-3Т) やR-5T (露:Р-5Т) がある。こちらは長距離爆撃機 (DB)・偵察機 (R)である両機を雷撃機としたもので、新たな機種の頭文字を末尾に付け加えている。

 

接尾記号は1文字である事が多いが、時には2文字であったり、3文字であったりという事もある。例を挙げると、ポリカルポフのU-2練習機のバリエーションには、U-2GN (露:У-2ГН, プロパガンダ用にスピーカーを備えた型)や、U-2NAK (露:У-2НАК, 夜間高射砲着弾観測用)といったものがあった。それぞれ用途を意味する語の頭文字を繋げたものである。

【まとめ】

[接頭記号] - [制式番号] [接尾記号]

  • 接頭記号:機体の役割(≒コンセプト)の頭文字
  • 制式番号:同じ接頭記号を使う機体の中での開発順の番号
  • 接尾記号:改良型、用途/機種変更後の頭文字など

3.1940年12月以降の命名規則 (新命名規則)

続いて、1940年12月より使用され始めた新たな命名規則 (この記事では新命名規則と呼称) について解説していこう。

こちらは、規則性は一部廃されながらも現在でも使用され続けている、今日でも目にする機会の多い命名規則だ。

【接頭記号】

旧命名規則では、接頭記号は機体の『用途/役割』の頭文字から取っていたが、新たな規則では『設計者の名前の最初の2文字』から取るとされた。例を挙げると、ペトリャコフなら「Pe(露:Пе)」、ベリエフなら「Be (露:Бе)」、ツポレフなら「Tu(露:Ту)」となる訳だ。

ヤコヴレフの機体などは「Yak」や「Jak」と3文字で表記されるが、元々ロシア語では「Як」と2文字であり、これを「Я:Ya」「к:k」と置き換えた結果なのである。

 

表2に新命名規則による接頭記号の一覧を記載する。これらはポピュラーなところを抜き出したものなので、全ては網羅されていないことに注意。

表2:新命名規則接頭記号抜粋一覧表
記号/露表記 英スペル 日表記
Ar/Ар Arkhangelsky アルハンゲリスキー
Be/Бе Beriev ベリエフ
Il/Ил Ilyushin イリューシン
LaGG/ЛаГГ Lavochkin-Gorbunov-Gudkov ラヴォチキン・ゴルブノフ・グドコフ
La/Ла Lavochkin ラヴォチキン
Li/Ли Lisunov リスノフ
MiG/МиГ Mikoyan-Gurevich ミコヤン・グレヴィッチ
Pe/Пе Petlyakov ペトリャコフ
Po/По Polikarpov ポリカルポフ
Su/Су Sukhoi スホーイ
Shche/Ще Shcherbakov シチェルバコフ
Ta/Та Tairov タイロフ
Tu/Ту Tupolev ツポレフ
Yak/Як Yakovlev ヤコヴレフ
Yer/Ер Yermolayev イェモラーエフ

機体が共同設計であった場合は、設計者の頭文字1文字を付け加えていくという事になっているようである。

2名の共同の例なら、ミコヤンとグレヴィッチによる”MiG”が挙げられるだろうか。ミコヤンの頭2文字「Mi(露:Ми)」とグレヴィッチの頭1文字「G(露:Г)」が合わさり、「Mi+G」でMiGとなっている。

 

3名ならば、ラヴォチキン、ゴルブノフ、グドコフの共同設計機―LaGG-3がある。こちらもラヴォチキンの頭2文字「La (露:Ла)」に、ゴルブノフとグドコフの頭1文字G (露:Г)を2つ繋げて「La+G+G」という成り立ちになっている。

【制式番号】

それまでの命名規則は「その用途/役割の中で何番目に開発されたか」であったが、新たな規則では「奇数番号を戦闘機、偶数番号を爆撃機に順に割り当てる」と定められた。戦闘機は1, 3, 5, 7, 9, 11…、爆撃機は2, 4, 6, 8, 10…を使用していくという事だ。

これら以外の機種はどうなのかというと、基本的に戦闘機以外は偶数番号が使われているようである。練習機だけは例外的に戦闘機と同じく奇数番号が使われている (例:Yak-7UTI, Yak-5 (2代目)など)。

 

番号付けの例を挙げるなら、ミグの戦闘機は最初MiG−1で、それに続く改良型はMiG−3とナンバリングされた。ヤコヴレフの最初の爆撃機はYak-2で、その改良型はYak-4とされ、その後同設計局に作られた双発輸送機も続いてYak-6とされた。ただこれだけのシンプルなルールである。

なお、旧命名規則では制式番号はしばしば省略されることがあったが、こちらは省略されることはない。

 

この数字の順番は、多くの場合開発順もしくは採用順であることが多いが、30年代に生まれたIl−4と40年代開発のIl−2では順序が逆転していたり、Yak-3のように機体名が再利用された例 (『ちょっとややこしいYakシリーズ』記事を参照) もあり、必ずしもそうとは言い切ることはできない。

また、この数字は付けなおされる事もあり、ツポレフのTu−10という機体は元々Tu−4とナンバリングされていたが、後に開発された米B−29のコピーである方の機体に譲られている。

 

40年代の多くの機体では、上記の様な規則性に則って番号が付与されていたが、戦後しばらくしてからはそれらから逸脱した例もみられる。偶数番号の戦闘機や、奇数番号の爆撃機などのことだ。これらの機体は「奇数・偶数」の規則だけでなく、「順に数字を割り当てていく」というものにも沿っていない。

理由は不明だが、「機種等を秘匿するため、あえて規則から逸したものを付け始めたのでは?」と考えるものもある。数字から機種だけでも推測されうるため、十分に考えられるものだ。

単純に「奇数・偶数番号を順に付けていくことに、特にメリットはないのでは?」となって、次第に廃れていったという可能性もある。一部の機体名は局内名称 (主に数字で付けられる) をそのまま制式番号としたものも確認できる (Tu-95など)。

戦後の領域は専門外なので、各々考えたり調べたりしてみて欲しい。

【接尾記号】

接尾記号については、旧命名規則と何ら変わりはない。1940年12月以前の項と同じく、改良型にbis・Mを加えたものや、襲撃機型としたものにSh (露:Ш)、雷撃機型としたものにT (露:Т)を加えるといった例が存在する。

 

時代が進むにつれ機体のバリエーションが増えたことや、戦中は多様な派生型が生み出されたこともあり、それまでより接尾記号のバリエーションは豊富となっている。

派生型が特に多いYak-9で例を挙げると、「D (露:Д)」=長距離型、「M (露:М)」=改良型、「R (露:Р)」=偵察機型、「V (露:В)」=練習機型などがある。

【まとめ】

[接頭記号] - [制式番号] [接尾記号]

  • 接頭記号:設計者名の頭2文字 (共同設計はさらに頭文字を付け足していく)
  • 制式番号:戦闘機は奇数、爆撃機・輸送機などは偶数
  • 接尾記号:改良型もしくは用途が変わったものを示す (旧命名と同じ)

4.命名規則の切り替え

~現在調査&執筆中~

5.正式な機体名表記

新旧命名規則の接尾記号の項では、「型分け (タイプ分け) などは接尾記号を用いる」と記載したが、それら全てがこれのみで行われるわけではなかった。ソビエトでは、機体の非省略形の正式な表記として、搭載するエンジン名を機体名の後に置くことで一種のタイプ分けを行っていたのである。

例を挙げると、Yak-1なら「Yak-1 M-105P」や「Yak-1 M-105PF」、Il-2なら「Il-2 AM-38」や「Il-2 AM-38F」となる。これは旧命名でも同じで、最初に述べたような新旧命名に共通する基本的なルールであると言える (というよりは命名規則の外にあるものか?)。

 

他国の機体で同じ表記法をするなら、「Spitfire Merlin 45」「三式戦闘機 ハ140」「Fw190 Jumo 213 F-1」のような感じだろうか。なかなかにやり辛そうな分類の仕方であるが、マニュアル等で使われる機種の指定は基本的にこれらの形式となっていた。

1枚目 (左):La-5FNのフライトマニュアルの1ページ。機体は"La-5FN"でなく"M-82FNエンジン搭載のLa-5"と記載されている。
2枚目 (右):Tu-2のフライトマニュアルの1ページ。エンジン名"АШ-82ФН"の前にエンジン搭載数"2"が表記されている。

他国では類を見ない不思議なルールがもう一つあり、それは『エンジンが2基以上ある機体については、エンジン名の前にその搭載数を記載する』というものだった。例えば、双発でASh-82FNエンジンを搭載するTu-2Sなら、「Tu-2S 2ASh-82FN」という表記をするという事である (上記画像を参照)。M-17エンジンを搭載する4発機のTB-3重爆撃機ならば、「TB-3 4M-17」である。これらは必ずというルールではなく、しばしば省略されている。

再び他国機で例を書いてみると、「B-17 4R-1820-97」や「Ta154 2Jumo 213E」といった具合である。

 

一部の機体を除き、基本的にエンジン数が変わることはない。何故彼らはエンジン搭載数という情報を機体名と共に記載するのか、筆者はまだ答えを得られていない。引き続き調査を続けるつもりだ。

~閑話「SBの誤解」~

これまで書籍やWeb上などで「ツポレフ SB」のことを「SB-2」や「SB2」、もしくは「SB-2M」と表記しているのを見たことはないだろうか?近年 (2019年時点) に出版された書籍でも度々目にするものだが、実のところこれらの表記は誤りであり、「SB-2」という名の機体/サブタイプは存在しない。

 

この誤表記が生まれたのは、これまでに説明してきた中の2つの事が原因だと考えられる。

まず一つ目に、先述の通り「旧命名規則による機体名は制式番号を省かれることがあった」事が挙げられる。"高速爆撃機"の頭文字から取られたこの機体は、その後に続く機体が居なかった(=SBという接頭記号を有する機体が他に作られなかった) 為か、「SB-1」と表記されることはなく「SB」と呼ばれ続けた。

そして二つ目は、先に紹介した「エンジン数をエンジン名の前に記載する」というスタイルだ。SBは双発機であるため、自然とエンジン数表記がなされる。例えばM-100Aエンジン搭載型ならば、「2M-100A」という文字列が機体名の後に付く事になるのだ。

「SB」と「2M-100A」、これら2つが組み合わさると「SB 2M-100A」という文字列になる。このやたらと長い記事をここまで読んで頂けた読者の方はもうこれらのルールをご存じなので、「あぁ、『SB』が機体名で、その後の数字『2』はエンジン数、『M-100A』というのが搭載しているエンジン名なんだな」と判断できるかと思うが、それらが無ければ「『SB2』という機体かな?」となってしまうのも無理のない話だろう。ソ連の航空機やソ連製エンジンに詳しくないならなおさらだ。

 

SBとDB-3を例に各要素を分解すると下記の図の様になる。

ただ、上記の通り「SB-2」というのは誤りではあるものの、それら全ての表記を否定すべきではない。というのも、『当時一部の空軍組織では当機を「SB-2」と呼称していた』という話があることや、『後世の研究家が、細かな型の識別のために非公式な名称を設けた中に「SB-2」がある』というものもある為だ。何らかの意図をもって使用している場合には、そのまま飲み込むべきだろう。

(当時使用されていない非公式な名称を用いるのであれば、その旨キチンと記載してほしいが……)

長々と続いた命名規則の話の総まとめとして、これまでの規則・表記法を含めた物の分解例を示してこの章を終わりとしよう。

6.その他の命名規則

上記のVVS (空軍)で用いられた命名規則のほかに、各設計局内など組織内部で使用された名称も数多く存在する。細かく分類する事は難しいが、主に「試作名称」「局内名称」と呼ばれるものだ。 

表3:試作名称/局内名称一覧表 (順不同)

記号/露表記 由来
ANT/АНТ 設計者ツポレフの頭文字から取られたもの。アントノフではない。 (Andley Nikolaevich Tupolev/Андрей Николаевич Туполев)
例:ANT-6 (TB-3の原型機)
BICh/БИЧ 設計者チェラノフスキーの頭文字から取られたもの。 (Boris Ivanovich Cheranovsky/Борис Иванович Черановский)
例:BICh-3
TsKB/ЦКБ 中央設計局の頭文字から取られたもの。 (Центральное конструкторское бюро)
例:TsKB-3 (I-15の原型機), TsKB-12 (I-16の原型機)
KhAI/ХАИ ハリコフ航空研究所の頭文字から取られたもの。(Kharkiv Aviation Institute/Харьковский авиационный институт)
例:KhAI-5 (R-10の原型機)
МАИ/МАИ モスクワ航空研究所の頭文字から取られたもの。(Московский авиационный институт)
例:MAI-3 (Sh-Tandem)

また、MiG設計局などは、制式名称 (MiG-1, MiG-3など) や試作名称のIナンバー (I-200, I-230など) の他に局内での開発名称も設けていた。

例えばMiG-1では、IナンバーはI-200、そして局内名称として≪Kh≫(露:X)と名付けられていた。

他には、MiG-5が≪T≫ (露:Т)、MiG-3Uが≪D≫ (露:Д)で発展型のI-231が≪2D≫ (露:2Д)、I-220系列もI-220は≪A≫ (露:А)、I-224が≪4А≫、I-225が≪5А≫と付けられている。

 

このMiG設計局内での名称がどのような使い分けであったのか、どういった理由で付けられたものかは不明。現在調査中である。

あとがき

を一応書く予定ですが、まだ全項目書き終わってないので、これらが終わったらにしようと思います。

しばしお待ちを。 (2019/09/23)


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参考:

■ソ連の翼―ソ連航空の全貌, 野沢 正・片桐 敏夫・堀江 豊, 朝日ソノラマ, (1975):pp.323-320

■世界の傑作機 No.133 ポリカルポフ I-16, 文林堂, (2009):pp.19-20

■世界の傑作機 No.129 Il-2 シュツルモヴィク, 文林堂, (2008):pp.21-22

■世界の傑作機 No.138 WWII ヤコヴレフ戦闘機, 文林堂,(2010):p.22

■世界の傑作機 No.143 ラヴォチキン戦闘機, 文林堂, (2011):p.10

■世界の傑作機 No.156 第二次大戦ミグ戦闘機, 文林堂, (2013):p.13

 

参考とはしてないけど関連したもの:

■J-wing誌2009年12月号 特集「これでわかった!軍用機の名前 保存版」

新命名規則のみですが紹介されてました。ちょっと首を捻るところはありますが……。