ソ連のワイヤーカッター搭載機≪Праван≫


ワイヤーカッターとは、爆撃を妨害すべく浮かべられた防空気球、それのワイヤーを切断する為のケーブルカッターのこと。ドイツのHe111やJu88が付けていた物が有名だろうか?

 

どうやらソ連でも一応開発してたようで、大戦末期か戦後からは2機種を対象に試験が行われていたようだ。1つはペトリャコフ設計局のPe-2、もう一つはツポレフ設計局のTu-2である。

これより前にも試作と研究が行われていたようであり、今後調査予定。

 

Параванは英語だとParavane。海の方面はさっぱりであるので今回初めて知ったが、有線操縦の対機雷装備の事であるらしい。このParavaneの機雷のワイヤーを切る動作と、航空機のワイヤーカッターが似ている事からПараванと名付けられたのだろうか?

参考:Paravane(Weapon) ―Wikipedia

 

Pe-2 ≪Параван≫は機首にパイプ(?)で構成された、全長5m程の三角錐状のパーツを装備し、その先端と両翼端を繋ぐように、「くの字」にケーブルカッターが装備されていた。

”Это устройство на практике проверено не было.” ……とあり、どうやら実際に試験はしていようだ。開発等の詳細な日付は不明だが、とりあえず完成は戦後とのこと。下記のTu-2版と同時なのか先だったのかは不明。

 

Tu-2 ≪Параван≫は1945年9月に2機試作されたらしい。母体はTu-2のASh-82FN搭載型で、こちらの機首は空気抵抗の少なそうなコーン型に整形されており、全長6mはほどであった。また重心位置を調整する為、胴体後部に150kgのおもりを載せていた。(Pe-2にもおもりが搭載されていた筈だが、情報が少なく詳細は不明)

 

1948年10月-11月のTu-2 ASh-82FN ≪Параван≫の試験では、以下の結果が得られたとされる。

  • 離陸重量 10759 kg
  • 最高速度537km/h @5450 m
  • 高度5000mまで11分
  • 実用上昇限度 9150 m

また、デバイス≪Paravan≫の実装による操縦安定性への影響は小さい事が分かっている。

 

二次大戦が終わると共に防空用の気球も廃れた事もあり、ワイヤーカッター搭載機が採用されることは無かった。


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【参考ページ】

Pe-2(1)

http://eroplany.narod.ru/bibl/shavrov2/chr2/p1/pe-2_1.htm

Pe-2(2)

http://legendary-aircraft.blogspot.jp/2013/04/Modifikacii-Pe-2.html

Tu-2

http://topwar.ru/37778-paravan-ohranitel-sistema-borby-s-aerostatami-zagrazhdeniya.html

Параванとは

https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%9F%D0%B0%D1%80%D0%B0%D0%B2%D0%B0%D0%BD